fundamental signs フォンダメンタル サイン

2つの国をたった1つの記号で、たった1つの想像で、統一するにはどうすればよいだろうか?頭の中に”verbum mentis”(ラテン語:心の言葉)として既にインプットされている”言葉”が、心の記号として存在しているのだ。その”言葉”は我々の口にゆっくり降りてきて、”音”を出さすのである。が、それ以上に紙に降りてきて、線や文字、絵を描きめぐらせるのだ。

点は線の前のものである。ピエロ・デラ・フランチェスカいはく、”点は目で見えるか見えないか位の小さなものである。線は点と点がつながって伸びたものである。”レオナルドは”線は点の多量のつながりで、全て分割できる。”と再認識し、ギベルティは”点が、1つ1つ次々と順序よく並んでいけば線になる。”と明確にしている。

それゆえ、建築家であり、このイベントの総指揮者であるアルベルト・バルタリーニは、これらの作品を使って何キロも離れた場所をつなげる”点”として統一させたのであろう。むろん、点から点へ、記号から記号、形から形、人から人、呼吸から呼吸へつなぐ心の線を実現させたのだ。これはハンス・ペーター・ディツラーが形を綿密周到に作り出すからであり、空間や大気、木々の近くに配置するからである。それはまさに、生命や友情、もしくは歴史のシグナルのようだ。

神(全てのものは神の創造物、とプラトン以降、学校などで繰り返し言われているような)の心の中の形の問題ではなく、形自身が内に秘めたものを作り出す、そして、”形の美”を可能にしているのである。ベネデット・クローチェが正しくこう書いている。”美の恩恵は、物質や肉体から生まれるのではない。事実、自然物質は醜いものであり、”美”は形自身から生まれる。”ここで書かれている形をハンス・ペーター・ディツラーは実現しているのだ。